その手術ちょっと待った!人工膝関節手術は本当に必要?

高齢者の膝痛

変形性膝関節症の裏に隠れる疾患とは

こんにちは!Dr.翔平です。
膝痛で整形外科を受診したところ人工膝関節を勧められてしまった方
藁をもつかむ思いでこのブログに到達したのではないでしょうか。
人工関節手術を避ける方法があるのか?、はたまた、諦めなくてはならないのか?
私の外来の経験を含めて紹介していこうと思います。

・この記事を見てほしい方

Dr.翔平
Dr.翔平

・人工膝関節手術を医師から勧められた方
・どうしても人工関節手術をしたくない方

・膝痛困っている家族をお持ちの方やご本人

高齢者における膝痛は、変形性膝関節症(膝OA)が原因となることが多いです。
確かに多いんですが、私の患者様の中には、変形性膝関節症の手術目的で紹介されたのにもかかわらず、人工関節手術なしに膝痛が改善し元気に日常生活に戻っていく患者様がおります。

どんな人が手術とならなかったのでしょうか?

・初期の変形性膝関節症
・鷲足炎
・半月板の変性

上記診断の方は疼痛の改善が見込める傾向があります。

60歳以上の方なら、多かれ少なかれレントゲンで変形性の変化を認めます。
変形性変化を認めた!!→手術だ!!!
ではなく、できるだけ手術を回避できる方法は無いか模索することが大事です。

初期の変形性膝関節症

変形性膝関節症の分類には古くからKL分類が用いられています。
下の画像は右膝のレントゲンになります。
変形が進むと内側(向かって右側)が徐々に狭くなるのがわかります。

Kellgren JH, Lawrence JS. Ann Rheum Dis.1957.16;494-502.
KL分類のⅠ,Ⅱを初期の変形性膝関節症といいます。
この段階の膝痛はリハビリ等の方法で疼痛改善の余地があります。

鷲足炎

膝といっても色々な部位があります。

右膝の画像で示すと膝関節面より足側の部分に疼痛がある場合

鷲足炎による疼痛が生じている可能性があります。

変形性膝関節症のレントゲン像があると見逃される可能性があるのでチェックが必要です。

鷲足炎については『鷲足炎』の記事で詳しく書いていますので確認してみてください。

半月板の変性

変形性膝関節症に半月板損傷を合併することがあります。

もちろん、人工膝関節をすれば痛みは取れますが
半月板の処置で痛みが取れる可能性があります。

詳しくは『高齢者の半月板損傷』の記事をチェック!

Bone Joint Nerve 6(3): 549-555, 2016.

人工関節手術を回避??

ズバリ!
下肢のリハビリ、局所麻酔+ステロイド、PRP療法(再生医療)の組み合わせにより治療します。


1.リハビリから開始し下肢の筋力を強化

改善がなければ
2.ステロイド+局所麻酔
それでも改善がなければ
3.PRP療法

上記のように段階的に治療を行い改善を期待します

PRP療法は、最近注目されている再生医療で詳しくは他の記事に記しますが
半月板損傷や変形性膝関節症の疼痛管理において注目されています。

手術とならないための最後のあがき方

レントゲンだけで手術となってしまった場合
MRIで半月板の評価をしていただけませんか?
と勇気をもって伝えてみましょう。

そして、疼痛が改善しなくてもいいので、
一度関節鏡で膝関節をクリーニングしてもらえませんか?
と伝えてみましょう。

文献的にも関節鏡によるクリーニングの効果は認められています。
Wang et al. BMC Surgery (2023)

さいごに

保存療法でリハビリや筋トレをやり切り
ステロイドやPRPを試し

関節鏡でクリーニングを行ったが、それでも膝痛が改善しない場合

諦めましょう
諦めて自分が住んでいる地域の優秀なドクターに膝をゆだねましょう
膝の名医の探し方がわからなければお手伝いしましょう。
よく頑張りました!!!!

 

膝の情報をわかりやすく患者様に寄り添った形で配信していきます。

まだまだ、かけていない情報がたくさんありますので楽しみにしていてください。

hizaita-kaizen

国立の医学部を卒業し、スポーツ整形外科医としてプロのチームをサポートしているDr.翔平です。

娘が誕生し、小学校受験に興味を持ちました。

小学校受験を志し情報収集を始めた皆様、いろいろな情報が乱立していて、わかりにくくないですか?

このブログでは情報をわかりやすくまとめ、ただでさえストレスな受験戦争を、有利な状況で迎えられるように紹介します。

同じ悩みを抱えるお父さま、お母さま、得意の分析力を持って全力で発信しますので一緒に頑張りましょう。

PS.普段は整形外科医として膝痛の患者様に寄り添っています。
膝痛に困っている、お子様やおじいさま、おばあさまがいる場合、気軽にご相談ください。

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